なんかさァー中学生の時もそうなんだけど、高校生の時って小遣いだけで一ヶ月過ごすわけじゃん
まァーバイトしてる人もいるだろうけど
あたしの通っていた高校はよっぽどの事情が無い限りバイトは禁止でね、中には、黙ってやっていた子もいたけれど、見つかれば何らかの処分をうけちゃう
そんな小遣いの中から人におごるってめちゃめちゃ優越感なわけよ、いばれるわけよ、その場限りだけどね
学生時代はいくら勉強ができようが、運動ができようが上下関係なんて一切ない
おごるってサイコ~!!
オラ、オラ!
ひれ伏せたまえ! 的なw
高校時代にあたしが世界一かっこよく友達におごってやった話をしよう!
あたし帝国
放課後の部活も終わり、バス停までいくとまだまだバスが来ないと分かり友達の「コンビニいって本でも読んでる?」 の提案に2人で向かうことにしました
向かっていると、まァー気分的な問題でさ、ポテトが食べたくなったんだよね
部活終わってお腹もへってるし
んで、
ねぇね、ポテトたべな~い?
あたしおごってあげるよ~!
マヂでマヂで、熱い!
飛び跳ねて喜ぶ友達
そんなポテトおごるって言ったくらいでここまで喜ぶのか~
と思ったけど、普段おごる機会なんてあまりないんだけどね
特別この日いいことあったわけじゃないんだけど、そんな時ってありますでしょう?
勿論友達にもきかれたよ
矢沢がおごるって珍しくない?
最近ね、臨時収入はいったから、今回は特別おごってしんぜよう
わたしの方おごってる回数多いけどね
いやならいいんだけどね
え~たのむぅ、たのむぅ
あ~気持ちイイ~!
なんたる至福、なんたる優越感に浸りながら友達と違うルンルン気分で歩きました
いつもはだだっ広い駐車場を従えているコンビニも、あたしの権力には今日ばかりは飲み込まれることでしょう
あぁ~戻れないんだなぁ
そこのコンビニはガラスケースにディプレイした商品を売るのではなく、注文してから作るのである
DA・KA・RA
揚げたてサクッのギトギト油にまみれてないポテトが食べれるわけです
あたしはさっそくレジで待機している愛嬌全開の店長、松方弘樹似(メガネ装備)のところに向かい「ポテト2つくださ~い」と注文しました
番号札を渡されしばしお待ち
友達は雑誌コーナに向かい立ち読みタイム
あたしはというと立ち読みが苦手なので店内をうろうろしていました
店内を1周してもまだできないので友達のところに向かいました
ポテトを待ちながら立ち読みか~
もぉーわが子を連れてきてるような感覚、あたしのお金でまだかまだかとポテトを待っている様子が全く見られず、結構おごりがいがないやつだな
もっとはしゃげよ! 本が手につかないくらいソワソワしろよ!
そんなクソ野郎の横でとりあえずあたしも本をペラペラ
注文から15分くらいたったので
とっくに立ち読みに飽きているあたしは「そろそろできるんじゃな~い」と友達にうながしレジに向かおうとしました
いつもなら「もうちょっと」とだだをこねてもおかしくないのだが、この日は違ったらしい
パタッ
冷静に本を読んでいるようで心の奥底ではポテト待ちだったわけだ!
あァーなんて単純、なんて本能的なの、もはやワンちゃんなみやな
バッグから財布をとりだし、会計待機のあたし
で、おもむろに財布をあけると
札がねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
小銭は、
十数円しかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
この事態にちょっと自分でも吹きだしてしまい、友達に小声で
お金ないんだけど・・・
金ないってww
あまりにビックリしたのか、おうむ返しされ、あたしと同じようにニヤニヤしていました
あんだけおごるって言っといてなんでないの?
昨日CD買ったのわすれてた・・・
だから、ごめん後で返すから払ってくれない?
えぇ~! 今日わたし財布もってきてないよ・・・
マジどうしようもね~展開だな
んで、あたしが思いついた方法はただ1つ
バックレよっか
いやいや、それはまずいでしょww
友達はこんな展開を味わったのは多分初めてだったのだと思います
ずっとずっとニヤニヤしています
SPONSORED LINK
取り残されたあたし
12番のお客様~
あァー呼ばれてしまった
もぉ、正直に話すしかないよね・・・
やべぇよ、絶対怒られるわ・・・
テンションが一気にゼロになったあたしは、うつむき加減の暗いトーンで勇気を振り絞り、店長の松方弘樹にことを説明しました
ん~と考えている様子でしたが、あたしはどんな仕打ちが来るのだろうと、怖くて顔もみれません
どんな判決が下されるのかただ待つだけです
やはりこういうお客はいないだろうから松方弘樹は少し困惑中な雰囲気
そりゃそうだよね、こんな状況を楽しめるのは極道ぐらいなもんで一般人にはまァーまず無理
その答えが出るまでは緊張バクバク状態
時間にしてみれば10秒と待ってなかったわけですが
なんて言われるんだろう、なんて言われるんだろう
松方弘樹はついに口を開いたのです
「おじさんにジャンケンで買ったらおじさんがおごってあげるよ。もし負けたら明日払いにきてね」
何というイキな計らい
しかし、あたしはそんなことに全く気付きませんでした
「負けたらどうしよ~、負けたらどうしよ~」と友達に助け船を求めるも「そしたら明日払うしかないね」
えぇ~なんという冷たい反応、あたしはもっと違う言葉がほしかったのに
もし負けたら明日一緒にきてくれる?
友達は笑いながらぜんっぜんいいよといまだに状況をお楽しみ中
え~っジャンケンやだな~
もうあたしは勝ったらラッキーという思考はありませんでした
『負けたら絶望』恐怖にのみ込まれ、冷静な判断ができていません
勝てばいいんだって
松方弘樹もあたしのビビり具合を察知したのか
「そ~だよ、勝てばいいだけだよ、買ったらただで食べられるんだよ!」
そんな支えに少し勇気をもらいながら
一回勝負?
松方弘樹はうむ
あぁ~こあい、あぁ~こあい
じゃいくよ!
威勢のいい松方弘樹の掛け声にあたしは心の準備もまだに、強制ジャンケンを強いられます
最初はグー
ジャンケンポン!
ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
時が止まるとはこのことなんでしょうね
周りの音もすべてシャットアウトされ、勝負の結果を把握するにはちょっと時間がかかりました
え~っと、
チョキはグーに負けるんだよね
あたし勝ったよ! グーで勝ったよ!
松方弘樹は「よかったね~おめでとう」と握手してくれました
友達も「よっしゃ~!」とあたしと一緒で嬉しそう
やったよ! やったよ! あたしってカッコイイよ!
こんな大一番の勝負に勝てるなんてあたしは運がいいよっ
勝ててよかったねぇ~と満面の笑みでポテトを渡してくれる松方弘樹
いつもは親にも先生も注意で怒られっぱなしだったから、こんな大人もいるんだと子供心にすこし世界を知った感じがしました
ルンルン気分でポテトを頬張りながらバス停に向かう途中
いや~あの勝負めっちゃ怖かったわ~
wwビビリすぎて正直笑えた
だって、負けたら明日払いにいかなきゃいけないじゃん
いやいやwwおかしってwもともとタダでたべれるみたいな話になってるじゃん
あァーそうか、冷静になれたあたしは初めてこの状況を把握しました
そうか、負けてたら明日払いに行けばいいだけ、なんもビビることなんてないじゃん
そうなんだって、今頃気づいたの? だからなんであんなにビビってるのか不思議でたまらんかった
あたしのおかげでタダで食べれてんだよ!文句ゆ~な!
いやっwどう考えてもあの店長のおかげっしょ
翌日は「金ないんだけど~」がネタになり若干流行語になりました
今思えばよく松方弘樹はあたしがウジウジしていたのを見て怒らなかったなって思う
せっかく提案してあげてるのにえ~なんて言われた普通怒っちゃうでしょ?
ジャンケン勝ったらダダでいいよなんてめったにない話で
あたしはそんなありがたさより、ジャンケンに負けた時の恐怖で頭がいっぱいになり当時は松方弘樹の優しさに全く気付きませんでした
素敵な大人
大人になった今そんな松方弘樹にあこがれてしまう
あれから10年経った今、コンビニは立派な姿で残っているし
きっと、あたしのような学生と今でも『仁義なき戦い』をしていることでしょうね