これは私が専門学生だったときの話
この日は金曜日で高校からの友達がウチに遊びに来ることになっていた
2人のブームは『マリオカート64』
普段からちょくちょく遊んでいたが決まってマリオカートをしていた
私はお酒が得意ではないので飲みに出かけることは少なかった
友達も同等に弱かったので飲みに行く機会は少なく、遊ぶ時は家でゲームすることが多かった
いわばゲーム仲間
といっても友達とはマリカーと桃鉄しかやらないんだけど
友達の宮田が家に到着したようだ
宮田は来るなりとりあえず一服するかとタバコに火をつけた
タバコを吸い終わると宮が
「マリカーすっか!!!」
(笑)
私はこの言葉を待っていたのだよ!!!
今日遊ぶ約束はしていたが何をする?までは決めておらず、まぁどうせマリカーだろなとは思っていたが宮田が飽きていたら断られるだろうと私からは口にしなかった
私はめちゃめちゃやりたかったけど「もう、飽きたからいいよ~」って言われたらヘコむしテンションガタ落ちするでしょ??(笑)
最初はコンピューターを入れたレースした
普段どおり宮田の勝利
宮田はマリオカートを持っていないが強かった
普段ゲームを一切しないしキャリアでいったら私の方が格段に上
だって幼少時代高難易度の『ロックマン2』をクリアしてるのだよ!!
ゲーム歴も10年を超えているのだよ!!
経験は長いけどセンスが無いってことか・・・
と、思いたくなかったので喰らいついたが勝てない・・・
普段から練習していれば負けることはないだろうと思っていたがフェアじゃない気がしてそれはやらなかった
レースをしているとコンピューターが邪魔になるので1対1のレースをすることになった
宮田はずっと勝っているから調子にノってかなり煽ってきた
「またオレの圧勝かなぁ~」
ウザッ
全敗しているというわけではなく、3回に1回勝てる程度だったがこの結果を私のプライドが許さなかった
この結果を逆転しなければと次々挑戦していったら2回に1回まで勝敗をあげれるように
なってきた
しかし宮田の煽りは続き
「あれあれ~どうしちゃったのかな~」
ウザいを通りこして家に呼んだこと自体間違いだったかと思うようになり、最初は打倒宮田だったがこの時は滅殺・天をかましたいほどだった
勝敗は約50%に達したところで私はさらなる勝負を持ち掛けた
「先に10勝で負けた方がアイスおごりな!!」
宮も「おおっ!ついに来ましたか~」と待ってましたと言わんばかりの反応を示していた
私は100人の兵士に1人で戦いを挑む覚悟で向かったが結果は10-8で負け・・・
今回の戦いはギリギリの場面が多く、歯がゆい結果になった
更に火が付いた!!
「次!!夜飯で行こう!!!」
宮田も承諾
ちなみにさっきから対戦しているコースはレインボーロードのみ!!
なぜか2人はこのコースにどっぷりつかっていた
このコースはスタート直後にショートがあり全体の1/3の短縮ができるので成功するとかなり熱いがタイミングが意外と難しい
何回も挑戦できるが失敗がつづくと逆に時間ロスになる
先ほどはアイスのみだったが夜飯となれば話は違う
私はバイトはしておらず仕送りのみで生活していたので勝つと1食分浮くとなるとかなりデカイ
対戦はさっきより結果がよく私がリードしていて、珍しく宮田もこの結果に焦りの色を見せていた
最後には9-9という絶対に負けられない状態になっていた
お互い「ココだよな~」と意気込んでいた
始めるとお互いショートカットの成功率が高くかなりせっていた
たかが夜飯だとおもうが心臓はバッグバッグしていた
先行する宮田を追いかけていたがフェイクアイテムBOXやら、ワンちゃんに食われ私は撃沈する結果となった・・・
時計をみるともう2時近くになっていた
宮田が大体20~21時に来たから約5時間近くPLAYしていたのだ
スーパーはもちろん閉まっており、近くのコンビニまで夜ご飯を買いに行くことにした
住宅街ということもあり、外には誰もいなかったし、車も一切通っておらず静寂に包まれていた
やはりこの時間ともなると家の電気は消されていて電柱についている明かりのみだった
まるで地球上にだれもいないんじゃないかというくらい
負けたとはいえ、緊張した空気から解放されたので気が楽になっていたが緊張疲れはまだ継続中
お昼からご飯を食べていなかったので余計疲れていたと思う
コンビニまでは歩いて5分ぐらいなので道中てきとうな会話をしていたら
突然背後から
ガァッ!ガァッ!ガァッ!ガァッ!
とスニーカーとかではなく木製の下駄のような音が走ってきた
その音は静寂に包まれている空間にはとても響きがよく、一気にこちらに近づいてくることが分かった
体感では2m後ろといった感じだ
本能的に木製音と明らかに私たちを追いかけてきているだろうという恐怖感そして危機感を感じとった束の間
「人参って漢字かけるかぁ~~~」
と背後からババアの声がした
宮田とマンガのように見合わせ「ヤバッ」と少し笑いながら2人で猛ダッシュした
明らかにババアなので走っても追いつけることは無いだろうとおもったが必死だった
30mぐらい走りそこから右に曲がり少し走ってから後ろをふりかえったがその姿は確認できなかった
私は「さっきの何?マジ怖くない??」と宮に投げかけた
宮田はマジでビビったわ~と肩で呼吸をしていた
私
「顔見た??」
宮田
「あんだけ近ければ振り返ってる余裕ないでしょ、多分止まったら死んでるよ(笑)」
同感だ
私も一切振り返らなかった
足音がすぐ後ろから聞こえたと思ったら約2秒後には叫ばれたし、もし怪談映画なら「書けません~~~」って言いながら逃げるところだが、そんな余裕もなく何より殺される勢いが半端なかった
コンビニにつくまではその話題で持ち切りになった
絶対片手に包丁持って、エプロンして、髪はロン毛で白髪交じりだよな~とか(笑)
買い物を済ませコンビニを出ればまたその話題が出てきた
なんせ元きた道を戻らなければ帰れないのでおたがいソワソワしていた
私
「もし、また追いかけられたらどうする??」
内心めちゃめちゃビビってた
宮田
「ババアなんだし走れば余裕っしょ!!」
私としては何とも頼もしかったからそれにつけこみ、さっきの現場近くなったら「先にいるか見てきて」とお願いした
現場付近に近づき宮田はキョロキョロしながら確認していたが急に手招きされた
何かあったのだろうとサイレント小走りで向かうとそこには丸々一本の人参が落ちていた
日中であれば人参が落ちてるくらいではビビらないがさっきのことと、夜の静寂さで、もはや日常の姿ではなかった
宮田はその人参を足で転がしたら黒い線がチラリと見えた
二人でえ? となり確認することにした
再度足で転がすとそこには
ひらがなで
にんじん
と書かれていた
二人で爆笑した
私
「ババァ人に聞いといて自分書けないんじゃん!」
宮田
「違うんだって!書けないから聞いてたんじゃん」
なるほど、頭イイ!!
でもでもこんな時間だよ・・・
ありえんでしょ・・・
いくら考えても顔をみてないから実態は分からないけれどもし霊だったら嬉しく思う
特に悪霊
だってこれを持ち帰って自然と宮に食べさせればマリカーの仕返しができるでしょ
P.S.ミステリー好きの矢沢ゆめより