テレフォンカードはだれのもの

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今では携帯電話を持っていることが当たり前になり、公衆電話を使う機会がめっきり減った

 

公衆電話は年々なくなっており

調べてみると2018年3月末で全国に157,875台あるらしい

都道府県で見ると約3359台、そして市では約204台

これは全盛期の5分の1らしい

 

こんな感じのデータだが公衆電話には、ほとんど興味がない

私にとって公衆電話は道にある電柱と同じくらい風景に溶け込んでいる

 

しかし「後一ヶ月でなくなりますよ~」と聞けばツーショットと単体でパシャリとするだろう、いや必ずする

 

 

興味ないと言っておきながら、公衆電話にはいくつかの思い出がある

 

ひとつは、おつりの受け取り口、左についていた赤い非常用ボタンだ

小学生のころ、あのボタンを押すと勝手に警察につながるからやばいという噂が流れた

 

やばいといわれたってやってみたくなる好奇心旺盛な小学生たち

そう、私もその一人

 

公衆電話を見つけると誰かが押すふりをする

押したら大変だということはみんな分かっているから、ガラスにタッチするだけ

 

 

ある日、ひとりがいつものように押すふりをしてふざけているところ、その指を瞬時に捕まえ中まで押し込んだ友人がいた

 

周りは一斉に逃げ出し、その子もすばやく手をひっこめ逃げ出した

 

はなれて様子をうかがうと・・・

何もおきない・・・

 

この日から何も起きないことがわかり、みんな見つけてはボタンを押すようになった

 

 

 

2つめはテレフォンカード

テレフォンカードは使えば穴があくがその穴を、セロテープでふさげば永遠につかえるという話がでた

どこから仕入れた情報かはわからないが、試してみた結果失敗におわった

 

 

 

3つめは中学生の時

職員室の前におかれていた公衆電話

家に忘れ物をして親に持ってきてもらうという理由でつかっていた子が多かったと思う

頻繁ではないけれど、たびだび目にすることがあったので特別不思議な光景ではない

 

そんな公衆電話に恐怖の番号があるというのだ

なんでもその番号にかけると死者の世界から電話がかかってくるという

出てみると一切しゃべらず一方的に切られるそうだ

 

そんな話が流行り、私は友人を誘い実際に試しにいった

受話器を置いたまま

 

 

④・④・④・④

 

 

 

 

かかってこない

 

待てど待てどかかってこない

 

「本当の話なの?」と聞かれるがわからない

 

しかし突然訪れた

 

ジリリリリリ

 

 

私は次のベルが鳴る前にとっさに受話器をとった

早く出て確かめたいという好奇心ではなく、先生の怒られるのを恐れたからだ

 

耳を澄ますと

 

 

 

 

無音

 

 

 

さぁ、ここからが矢沢ゆめの物語の始まり

 

テレフォンカードはだれのもの

中学校ではとにかく、アイドルグッズ、ジャニーズグッズが流行った

みんなポスターを買ったり、下敷きを買ったりで学校でもそれをつかっていた

今でもそうだがバンドもアイドル化していて今よりも沢山グッズがあった

 

街中には有名なグッズショップがあり休みの日に行けば誰かしらに遭遇した

みんなそこで買うもんだから、かぶるなんて当たり前

 

そんなとき、ある友人が見たことないデザインの下敷きを持ってきていた

「どこで買ったの?」と聞くと「今度連れてってあげるよ」と遊ぶ約束をした

 

 

 

実際行ってみると、きたない雑居ビルの地下でなんとも危なそうところだった

コーヒーショップがあり、ガラの悪い人たちが出入りしているゲーセンがあり、その奥に店があった

 

店といってもドアなんてなく露店に近いスタイルだった

そこには今まで見たことないグッズが沢山あった

 

 

私もグッズに夢中になっていたので頻繁にそこで買うようになった

ある時、店長から

「好きなアイドルの切り抜きとか写真持ってきたら、鏡やテレフォンカード作れるよ」と言われ次行くときにすこし高いながらも、オリジナルのコンパクトミラーを注文した

 

 

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この話の主人公である翔(しょう)はテレフォンカードを注文していた

翔は3人兄弟の末っ子

 

長男、次男は高校生

 

翔はバスケ部に所属しており、身長も高く、ドラゴンボールやスラムダンクなどをこよなく愛していた

 

 

 

ある日、翔はおもむろに自宅のトイレで注文していたテレカをポケットから取り出した

アイドルやバンドのテレカではなく、水着のグラビアだ

 

その8.6 X5.4cmという情報があまりにもすくない状況で、思春期の翔はスペースマウンテンに乗りこみ、銀河の旅へと出発した

 

 

 

 

旅を終えた後はIQが下がるなんて聞いた時があるけれど、いまいち真意はわからない

だが、翔はそのテレカをトイレットペーパーのフタの上に置いたまま出ていったのだから、IQは下がっているのだろう

 

 

 

数時間経ち、一階から母親の声が響く

「翔~~ちょっと降りてきて~~」

 

週刊少年ジャンプを読んでいるさいちゅうで

「あとでいく~~」と返事をしたが

 

「今来てちょうだ~~い」といわれ、しぶしぶベッドから起き上がる

 

 

一階におりると、すこし広い玄関前に長男、次男が横に整列していた

意味も分からず、翔も横につく

 

 

母親はレッドカードを出すかのごとく

「このテレフォンカード、トイレにあったけど誰の?」と怒った口調で切り出した

 

翔はハッっと初めて忘れたことに気づく

この時の翔の心情は、中学生が喫煙、万引きが見つかりヤバイという危機感ではなく、もう世界であなたしか愛せない、あなたと一生いたいと夢見た異性に、桜の下で期待値髙めな思いをふくらませ告白したがふられた感情に似ていると思う

 

一人ずつ尋問が始まる

「翔、あんたの?」 「しらね~」

 

「次男あんたの?」 「しらね~」

 

「長男あんたの?」 「しらね~」

 

もしここで挙手したなら、今までの行動がすべてばれてしまうだろう

トイレにグラビアのテレカが落ちてる分には落としたんだなと読み取れるけど、トイレットペーパーのフタの上ともなると言い訳がきつくなる

 

誰も口を開かない

 

「だれもいないならお母さんこれ捨てるからね!!」と居間に戻って行った

 

 

長男から「あれ、翔のじゃね~の?」と聞かれたがシラを切った

 

いくら男兄弟と言えど恥ずかしいものは恥ずかしい

 

 

 

 

 

次の日

 

学校から帰るとそのテレフォンカードは机の引き出しの中にあった